SNSなどで誰かから誹謗中傷を受けたときには、ソーシャルメディア・ハラスメントに該当する可能性があります。このハラスメントは、フェイスブックなどのSNSの普及とともに増え始め、一気に注目を浴びるようになりました。
ソーシャルメディア・ハラスメントとは?
ソーシャルメディア・ハラスメントは、フェイスブックやLINE、ツイッターなどのソーシャルメディアを通じておこなわれるハラスメントのことです。日本では、主に職場の人間関係などを利用して相手に嫌がらせや強要などをする行為と認識されることが多いです。一方、外国ではSNSを通じておこなわれるハラスメントを、広くソーシャルメディア・ハラスメントと呼んでいます。
「ハラスメント」は相手を不快にさせる行動や発言をすること
ハラスメント(Harassment)は、英語で「悩ますこと」や「嫌がらせ」を意味する言葉です。パワハラやセクハラなども、相手を不快にさせる発言をしたり、迷惑行為をしたりする点はソーシャルメディア・ハラスメントと共通しています。ハラスメントは、被害を受けた当人がどのように感じているかが判断の基準になります。意図にかかわらず、被害者がその言葉や行為を不快だと感じていればハラスメントになる可能性が高いです。
ソーシャルメディア・ハラスメントのパターン
職場の人間関係が絡む日本のソーシャルメディア・ハラスメントは、上司と部下、先輩と後輩などの上下関係がある間柄で起こるケースが多いです。たとえば、部下のSNSのアカウントを知った上司が、投稿したコメントに「いいね」を強要したり、お友達登録をするように迫ったりすることは、ソーシャルメディア・ハラスメントで多いパターンです。発言や行動をアカウントを持つ当人が不快に感じれば、相手の意図に関係なくハラスメントになる可能性がでてきます。
自分の投稿に反応しないことやお友達登録をしてくれないことを理由に、職場で相手を責めるような発言、行動をすることなども、ソーシャルメディア・ハラスメントのひとつのパターンです。上司と部下などの立場上の力関係がある場合、「いいね」を強要されたりお友達登録を迫られたりすると、プレッシャーを感じる人が少なくありません。以後のSNSでのコミュニケーションがしにくくなったり、アカウントの閉鎖を考えざるを得なくなったりする人もいます。
ソーシャルメディア・ハラスメントを防ぐ方法は?
ソーシャルメディア・ハラスメントを防ぐには、「SNSの公開範囲を限定する」などの対策が必要です。個人が特定できる情報をできるだけ公開しないことが、ハラスメントを防ぐコツです。フェイスブックのような実名で登録しなければならないサービスを利用する場合は、とくに注意が必要になるでしょう。
被害を受けたときの対策
万が一、ソーシャルメディア・ハラスメントの被害を受けてしまったときは、必要に応じて弁護士などに相談して対応を依頼することも可能です。相手からの誹謗中傷があった場合は、投稿やメールなどの発言内容がわかる記録を残しておきましょう。このような証拠が残っていれば、弁護士も事実確認がスムーズにできます。職場でも嫌がらせ行為が見られたときは、時系列的にまとめたメモなどを用意しておくのもひとつの方法です。嫌がらせが始まった時期とSNSとの因果関係が類推できれば、ソーシャルメディア・ハラスメントとして扱ってもらえることが考えられます。
弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼をすると、違法性などをチェックしたうえでしかるべき対応を提案してもらえる可能性があります。ハラスメントの内容によっては名誉毀損罪や侮辱罪などに該当するケースもあるため、1人で悩まずに専門家に相談することが大切です。