SNSなどのソーシャルメディアは便利ですが、時として犯罪の温床となることも少なくありません。最近では盗み見専用のアプリが開発されたり、パスワードを解読して、興味本位や配偶者の浮気の証拠集めとして、他人のLINEを盗み見する事例も増えています。LINEの運営会社も対策を講じていますが、絶対に盗み見被害に遭わないということは残念ながらありません。読んでいないはずのLINEで既読がついていたという経験をしてびっくりしたり、もしかして乗っ取り被害に遭ったのではないかと怖い思いをしたという経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
誰かわからない人に自分のトークルームを監視されていたら、安心してSNSを使うことも誰かと連絡を取ることもできません。また、このような盗み見被害にあった場合、「アカウント乗っ取りによる意図しない書き込み」、「機密データの流出」、「通販での商品購入」、「不正送金」、「加害者としてのアカウントに利用されてしまう」など、さらなる被害に拡大する危険性があります。
盗み見はプライバシーの侵害や不正アクセス罪にあたる可能性があります。プライバシーの侵害とは、私生活をむやみに公開されない権利(プライバシー権)を侵害する行為のことで、不正アクセス禁止法違反とは、不正アクセスとそれを助長することを禁止する法律(不正アクセス禁止法)に違反する行為のことです。どちらも、犯罪にあたり、違反すれば罰則を受けます。プライバシーの侵害の場合、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」、不正アクセス罪の場合、「3年以下の懲役又は100万円以下の罰金」となります。
このようにLINEの盗み見は犯罪なので、被害にあった場合、不正アクセスをされた被害者は弁護士を通して、不正アクセスした相手に対し、法的措置を取ることも可能です。仮に相手が配偶者であったときでも、プライバシー権は夫婦間でも成立するので、法的措置をとり慰謝料を請求することもできます。もしも弁護士に相談するとしたら、まずは証拠を集めましょう。「かもしれない」というレベルで訴えてしまうと、取り合ってもらえなかったり、被害妄想だといわれて、泣き寝入りに終わってしまうからです。
自分のLINEが本当に盗み見されているのか、ログイン端末を確認する必要があります。確認方法ですが、LINEアプリを開き、「設定」から「アカウント」、「ログイン中の端末」をタップします。もしも、見慣れない端末があった場合、別端末から不正アクセスをされた可能性があります。
その後、証拠集めをします。方法としては、「スマホが不審な動きをしていないか物理操作やロギングで確認」、「ウイルス・スキャンを行う」などがあります。もしも不審な動きがあれば、「5W1H」を満たす形で証拠を集めていきます。(「いつ」、「どこで」、「だれが」、「なにを」、「どのように」まで集められるのが理想的です。)手段としては、アプリケーションなどのログデータを記録する方法、ビデオカメラなどでスマホの画面を記録して不正な動きをしている現場をおさえる方法などがあります。犯人の特定方法ですが、裁判所に訴訟をする場合、管理者に情報を開示してもらう方法があります。また、特定できなかった場合は、警察に犯人不詳のまま、被害届を出すこともできます。
証拠をつかみ、相手も特定した場合ですが、再犯防止のために法的措置を取ることは非常に有効です。法的措置を取ることにためらいを覚えたり、そこまでしなくてもいいと考え、個人での解決をはかりたくなるかもしれません。が、そうするとますます関係がこじれてしまい、思わぬトラブルになることがあります。そのため、第三者(弁護士や警察)に相談することが必要になります。もしも、相手が自分に近しい人だった場合、情に流されて甘い措置を取りがちですが、毅然とした態度で臨みましょう。